外国語を学ぶことは、新しい世界を知ることであり、自分が属する世界を再発見することでもあります。ドイツ語を学びながら、ドイツ語圏の国々やヨーロッパの豊かな文化に触れてみませんか。日本語や英語への理解が深まり、日本のことをより客観的に捉えることにもつながります。

ドイツ語の背景と世界での位置づけ

リンツ・アム・マインの街の風景

リンツ・アム・マインの街の風景

ドイツ語はインド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派西ゲルマン語群に属する言語で、同じくこのグループに属する英語やオランダ語とは兄弟関係にあります。ドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルクで公用語として使用されているほか、ベルギー東部、イタリアの南チロル地方、フランスのアルザス地方、東欧の多くの地域でも話されており、日本語と同じぐらいの約1億3000万人の母語話者をもつ言語です。

さてみなさんは「ドイツ」「ドイツ語」と聞くとまず何を思い浮かべますか。ビール、ソーセージ、サッカーでしょうか。でもそれだけではありません。ドイツ語に触れたことがないという人でも、子どもの頃に「白雪姫」「ヘンゼルとグレーテル」といったグリム童話を読んだことがあるでしょうし、ゲーテ、シラー、ベートヴェン、バッハ、カント、ヘーゲルももちろん知っているでしょう。少なくとも一度は彼らの書籍や作品に触れたことがあると思います。彼らはドイツ語で物語や音楽を作り、哲学について論じ、その豊かな精神世界を表現しました。ドイツ語を学べば、それらをドイツ語で楽しみ、より深く理解することができますし、その他ドイツ語圏の様々な文化的事柄にアクセスするきっかけにもなります。また、ドイツ語は学問の分野で2番目に重要な言語ですので、これから大学で専門分野を学んでいくみなさんにとって、ドイツ語は強い味方になってくれるでしょう。

ベルリンの壁の一部

ベルリンの壁の一部

ドイツは、歴史的に日本と深いつながりがあり、近代化の過程では法律、医学、工学、科学など様々な分野で影響を受けてきた国です。現代においてもヨーロッパ第一の経済大国として、政治的にも国際社会において大きな存在感を示しています。2011年に日独交流150年目を迎えた日本とドイツですが、今後も様々な社会問題について互いに学び合い、助け合う関係として、両国の交流はさらに発展していくことでしょう。ドイツ語を学びながらドイツ語圏の社会と豊かな文化に触れることは、グローバルな視点を養う意味でも役に立ちます。

学習方法・参考となるホームページの紹介

ドイツ語学習に目を向けると、もともと同じルーツを持つ英語とドイツ語は共通点が多く、学習者にとって大きな助けとなります。まず、発音や綴りが類似した単語がたくさんあります(たとえば、name – Name[ナーメ]、house – Haus[ハウス]、fish – Fisch[フィッシュ]など)。発音も(いくつかのルールを除けば)基本的にローマ字読みに近く、アクセントの位置も基本的に決まっていますので、比較的簡単に習得することができます。文法に関しては、英語に比べて語形変化が多く、名詞に性がある(たとえば、Wein(ワイン)は男性名詞、Milch(牛乳)は女性名詞、Bier(ビール)は中性名詞)といった特徴があり、最初のうちは少し戸惑うかもしれません。しかし学習を進めていくうちに、きっとドイツ語の論理的な文法体系に魅力を感じられるようになるでしょう。また、格変化により主語や間接・直接目的語といった名詞の文中での役割が明示されるため、語順が自由で、その点では英語より日本語に近い部分もあります。


Wer fremde Sprache nicht kennt, weiß nichts von seiner eigenen.

(外国語を知らぬ者は、母国語についても何も知らない)
Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832)

授業外で活用できるe-learning教材や関連サイトにはたとえば次のようなものがあります。

・東京外国語大学言語モジュール:ドイツ語
http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/de/
語彙・文法・発音・会話の4つのモジュールからなっています。会話モジュールは、「感謝する」「提案する」「理由を述べる」といった機能別に構成されており、映像とスクリプト付きで、ロールプレイやディクテーションなど様々な練習ができます。標準ドイツ語のほか、「ウィーンのドイツ語」「チューリヒのドイツ語」のヴァージョンもあります。

・CALL Deutsch
http://lang.flc.kyushu-u.ac.jp/kyudai-call/lecture/deutsch
基礎文法の解説と音声からなっています。ぜひご活用ください。

・Deutsche Welle: Deutsch lernen
http://www.dw.com/de/deutsch-lernen/s-2055
初級から中級・上級に至るまで様々なレベルのドイツ語教材があります。文法や語法だけでなく、ドイツの文化、社会事情、ニュースなど多様なテーマを取り上げており(音声・映像付きも多い)、日々更新されますので、気軽に「生のドイツ語」「今日のドイツ」に触れることができます。

・ゲーテ・インスティトゥート東京
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/index.html
ドイツ語講座や検定試験に関する情報のほかに、ドイツ・ドイツ文化関連の催し物など様々な情報を得ることができます。

カリキュラム

基礎ドイツ語

1年次に「基礎ドイツ語」を履修します。週2回の授業で、内容は連続しています。
「基礎ドイツ語」では、初級レベルの語彙と文法を学び、ドイツ語を聞く・読む・話す・書くために必要な基礎的能力を身につけます。授業では、日常生活の中でよく使われる簡単なドイツ語の聞き取りや会話、身近な事柄についての作文、平易なテキストの読解などの演習を行いながら、ドイツ語に親しみ、基本語彙を習得するとともに、これらの学びを文法的知識によって体系化していきます。こうした語学学習と平行して、ドイツ語圏の様々な文化についても学び、言語と文化の関係や異なる文化を理解する力を身につけます。
1年間の「基礎ドイツ語」で、少なくともドイツ語能力技能試験4級程度のドイツ語力が習得でき、辞書を用いてある程度まとまった内容のテキストを読めるようになります。

展開ドイツ語

2年次に「展開ドイツ語」を履修します。週1回の授業です。
「展開ドイツ語」では、「基礎ドイツ語」で学んだ内容を発展させ、ドイツ語を聞く・読む・話す・書くために必要な応用的能力を身につけます。授業では、中級レベル程度の論述文やニュース記事の読解、様々な場面のなかでの会話、音声素材の聞き取りや映像の視聴、自分の意見をドイツ語で表現する作文などの演習を行いながら、語彙や表現力の増強を図るとともに、これらの学びを文法や語法の知識によって関連づけていきます。こうした語学学習と平行して、ドイツ語圏の様々な文化や社会事情についても触れ、言語と文化の関係や異文化についてさらに理解を深めていきます。
2年目に「展開ドイツ語」を履修することで、少なくともドイツ語能力技能試験3級程度のドイツ語力が習得でき、やや高度なテキストも辞書を用いて自力で読めるようになります。

検定試験

ドイツ語技能検定試験(独検) http://www.dokken.or.jp/

ゲーテ・インスティトゥートの検定試験 https://www.goethe.de/ins/jp/ja/sta/tok/prf.html

オーストリア政府公認ドイツ語検定試験(ÖSD) http://www.flc.kyushu-u.ac.jp/~de/oesd/index.html

教員紹介