■ロシア語の背景と世界での位置づけ

ロシア語はインド・ヨーロッパ語族スラヴ語派に属し、旧ソ連のヨーロッパ地域を含めるとヨーロッパで最も話者の多い言語です。ロシア連邦の公用語であるとともに、中央アジアやコーカサスなど旧ソ連諸国で共通語として広く使われています。母語話者は約1億5千万人ですが、第二言語として使える人も大変多い言語です。国連の公用語の一つでもあり、イスラエルやアメリカなどにも旧ソ連からの移民による話者コミュニティが存在します。

ロシアは文学、音楽、芸術、科学の分野で豊かな伝統を持ち、ドストエフスキーやトルストイなどのロシア文学の作家、チャイコフスキーやラフマニノフなどの作曲家、カンディンスキーやシャガールなどの美術家、さらにはメンデレーエフ(化学)、パブロフ(生理学)、マルコフ(数学)、ランダウ(物理学)といった科学者など、数多くの天才を輩出してきました。彼らが用いてきた言語であるロシア語は、学問や芸術分野でも重要な位置づけにあるといえます。

日本にとってロシアは地理的に最も近い隣国であり、北海道宗谷岬からサハリン島までわずか43kmです。文化面でも、日本で人気のキャラクター「チェブラーシカ」や民芸品「マトリョーシカ」、料理の「ボルシチ」、「ピロシキ」、「ビーフストロガノフ」は日本でもよく知られています。「イクラ」「ノルマ」「アジト」「トロイカ」などのロシア語由来の単語は日本語に取り入れられています。

仙台とロシアの間にも歴史的な結びつきがあります。江戸時代の仙台藩医師工藤平助は北方地域についての『赤蝦夷風説考』を著し、日露交流の基礎を築くとともに、北方史研究を提唱しました。明治期には、ニコライ大主教がハリストス教会を広め、その指導のもと、仙台でも伝道が始まりました。さらに、宮城県美術館にはロシア出身の抽象画家カンディンスキーの作品が所蔵されており、芸術面でもつながりが見られます。

このように、ロシア語は広範な地域で使われる言語であるとともに、日本とロシアは地理的にも文化的にも深く関わってきた歴史があります。ロシア語やロシア文化を学ぶことは、隣国ロシアを理解し、国際的な視野を広げるうえで大きな意義があります。

■学習方法・参考となるホームページの紹介

ロシア語はキリル文字を用い、語形変化が非常に豊かなことが特徴です。冠詞がなく、時制は「現在・過去・未来」の三つだけと比較的シンプルですが、名詞には性と格があり、動詞には時制と完了体、不完了体の区別が存在します。文法上の変化が文の意味や役割を示すため、語順は比較的自由で、文法の仕組みを理解すれば表現の幅を大きく広げることができます。ロシア語の響きが柔らかく力強く、そして美しいことも、ロシア語の魅力の一つです。
一方で、ロシア語の学習には一定の努力と覚悟が必要です。まず、キリル文字に慣れることから始まり、子音が多く正確な発音に注意が求められます。文法はヨーロッパの他の言語より複雑で、覚えることが多くあります。文法を論理的に理解し、体系的に学ぶことが重要です。
しかし、こうした難しさを乗り越えると、文法の仕組みがよく見えるようになり、文章の構造や意味を正確につかめるようになります。ロシア語で文学作品やニュースなどを読めるようになると、大きな達成感を味わうことができます。ロシア語は学習のハードルが高い反面、論理的思考力と粘り強さを育てる言語でもあります。挑戦する意欲のある学生にとって、ロシア語は自分の視野を広げる大きなチャンスとなるでしょう。

以下は、ロシア語学習やロシア事情を知るためのいくつかのホームページです。

東京外国語大学言語モジュール:ロシア語
https://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/ru/
授業時間外の学習に役立つ e-learning教材です。標準ロシア語を学ぶためのオンライン教材で、発音、会話、文法、語彙の4つのモジュールで構成されています。初学者は、発音の基礎からイントネーション、場面別会話表現、初級文法、約900語の基礎語彙を、相互リンクされた教材で自由に学ぶことができます。

東北大学東北アジア研究センター
https://www2.cneas.tohoku.ac.jp/index.html
シベリアや極東を含む東北アジア地域を対象に、歴史・文化・社会・経済などを学際的に研究し、地域理解の深化を図っています。

東北大学理学部の「ランダウ」プロジェクト
https://web.tohoku.ac.jp/manabi/topics/landau/
理学部の有志が、20世紀ソビエト連邦を代表する理論物理学者ランダウの名著『理論物理学教程』をロシア語から日本語に翻訳するプロジェクトを進めています。

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター
https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/
ロシアや東ヨーロッパ・中央アジアなどの地域を対象に、歴史・政治・文化・経済を含む学際的研究と教育を行っています。

■カリキュラム

基礎ロシア語
1年次に「基礎ロシア語」を履修します。週2回の授業で、内容は連続しています。
「基礎ロシア語」では、ロシア語の基礎的運用能力をつけさせることを目的とします。文法及び読本の教材や、音声教材を多用することにより、読解力だけではなく、確実に理解されうる発音と聞き取る力、さらにロシア語の背景にある文化およびロシア語が話されている国々の内政や対外関係といった事情を理解できる力を養います。

展開ロシア語
2年次に「展開ロシア語」を履修します。週1回の授業です。
「展開ロシア語 I/II」では、ロシア語の中級文法を学びつつ、ロシア語の音韻及び文法に対する言語学的アプローチを学び、同時に正確な読解力を養います。また「展開ロシア語 III」・「展開ロシア語IV」にいては、中級文法を終えたのち上級文法のうち必要な項目を学び、露文原典の精読により高度な読解力を養います。