スペイン語の背景と世界での位置づけ

スペイン大使館のドン・キホーテ像

スペイン大使館のドン・キホーテ像

スペイン語は全世界におおよそ4億2000万人から4億5000万人の話者を持ち、20以上の国と地域で公用語として使われています。スペイン語は、英語やフランス語などと並ぶ世界の「国際語」の1つと言っても過言ではないでしょう。また、スペイン語はラテン語から派生した言語です。周知のように、ラテン語はかつてローマ帝国の公用語として、「リングア・フランカ(世界の共通語)」の地位を保っていました。そのため、同じラテン語を起源とするフランス語やイタリア語と密接な関係を持ち、また、英語とも語彙の借用が頻繁に行なわれています。

更に、日本ではあまり紹介されていませんが、世界ではスペインやスペイン語圏の文化が広く受け入れられています。スペイン文学では、有名な『ドン・キホーテ』が、2002年にノーベル研究所が選定した「史上最高の文学百選」で見事に1位の座を獲得しています。在日スペイン大使館の正面玄関には、ドン・キホーテの像が安置されています。

スペインだけでなく、ラテンアメリカの国々でも数多くの文学作品が生まれています。文学以外にも、建築ではサグラダ・ファミリアを設計したアントニオ・ガウディ、美術ではパブロ・ピカソやディエゴ・ベラスケス、音楽ではパブロ・カザルスといった偉人たちが活躍しています。

トレドの街並

トレドの街並

こうした魅力的なスペインやスペイン語圏文化に密に触れる際に、スペイン語は強力な武器となります。グローバル化が叫ばれる現在ですが、世界中を見渡すと、英語だけで得られる情報は未だに十分ではありません。ある文化の多様性を把握するためには、その文化の言語が必要不可欠で、世界はまだそこまで「均一化」されていません。そして、スペイン語を学ぶことで開くことの出来るチャンネルは、皆さんが想像するよりずっと多いでしょう。

大学で学ぶ第二外国語はややもするとフランス語、ドイツ語、中国のいずれか、と考えがちですが、東北大学ではそれ以外にも様々な言語を学ぶことができます。その中で、スペイン語は日本では未だに人口に膾炙していませんが、世界では広く受け入れられている言語なのです。

学習方法・参考となるホームページの紹介

スペイン語やスペイン文化は日本ではまだ浸透しているとは言い難く、スペイン語圏文化の情報を積極的に発信・紹介している団体は多くありません。しかし、以下のサイトは参考になるでしょう。

・セルバンテス文化センター
http://tokio.cervantes.es/jp/default.shtm
スペインの最新の情報やスペイン語学習、スペイン文化の紹介などを行っています。

・スペイン王立アカデミー
http://www.rae.es/
オールスペイン語ですが、スペインが「スペイン語」をどれくらい重視しているのかが分かります。

・ラテンアメリカ協会
http://latin-america.jp/
前述したように、スペイン語はラテンアメリカでも話されています。ラテンアメリカに関する一般的な情報が手に入ります。

・東京外国語大学言語モジュール:スペイン語
http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/es/
東京外国語大学が運営している、27言語について解説したうちのスペイン語部門。発音や会話、語彙などのモジュールを体系的に理解できます。

カリキュラム

スペイン語は、スペイン及びメキシコやアルゼンチンなどのラテンアメリカの国々で公用語に採用されており、世界の20以上の国と地域で約4億3000万人以上の人々によって話されています。更に、アメリカ合衆国やフィリピンでもヒスパニックと呼ばれる人々が使用しています。話者人口と地域の多さでは、スペイン語は常に世界の言語のトップ5にランクインしています。また、スペイン語は第二次世界大戦の戦勝国の言語以外からはアラビア語とともに、国際連合の公用語の1つにもなっています。

このように、スペイン語は世界でも非常に大きなシェアを占めています。東北大学ではそれに鑑み、まずは基礎スペイン語Ⅰの授業で初歩的なスペイン語を学んでいきます。その後、基礎スペイン語Ⅱで更なる基礎の補強と、スペイン語運用能力の底上げを行います。この基礎スペイン語では、ヨーロッパ共通参照枠(CEFR)のA1レベルの力をつけることを想定しています。

2年次以降では、基礎スペイン語をさらに発展させた展開スペイン語Ⅰ・Ⅱが用意されています。ここでは、基礎的なスペイン語運用能力を前提としたうえで、応用的なスペイン語能力を磨きあげることができます。この単位を修得すれば、先ほどのCEFRの基準では、A2レベルのスペイン語能力が身についたことの証明になるでしょう。

東北大学のスペイン語カリキュラムでは、主に大学1年次生と2年次生を対象に30以上もの授業が展開されています。もちろん、1つとして同じものはありません。文法を中心に学べる授業や、会話や運用能力を高める授業、文化的背景にまで気を配った授業など、多種多様な、しかしスペイン語の能力を高めるという点では共通の目的を持った授業が用意されています。ネイティブの教員が担当する授業や、やはりネイティブがTA(ティーチング・アシスタント)をしてくれる授業などもありますが、ネイティブ教員の行う授業が全て会話重視で、日本人教員の行う授業が文法重視かというと、そんなことはありません。教員の裁量や、履修する学生の希望及び素質などから授業の形態が決まるものもあります。

このように、スペイン語のカリキュラムでは、従来の語学の4技能の他に、インターアクションも加えた5技能を効率的に習得できるような授業を揃えています。

教員紹介